カンザス大学留学体験談
北田 あみ
・留学プログラム:大学院留学
・期間:2022-2025(卒業予定)
・授業:東アジア研究/日本研究/ジェンダー研究
・奨学金:受給/学費全額免除(Teaching Assistant)
・クラブ:Graduate Scholars in East Asian Studies
留学動機
大学院入学前は津田塾大学英語英文学科の多文化国際協力コースに所属していました。コースでフィールドワークをもとに卒業論文を執筆する過程でジェンダーやセクシュアリティについてより深く学び、大学卒業後も学びを続けていきたいと思いました。日本の大学院ではTeaching Assistantとして働いたとしても学費が全額免除になったり、それに加えて生活費まで出たりする機会はなかなかなく、就職してある程度お金を貯めてからでないと大学院には行けないと思っていました。しかし、カンザス大学で日本語Teaching Assistantのポジションがあると津田塾大学時代の先生に教えていただいたこと、竹山明子先生のような日本×ジェンダー研究をご専門にされている方がいらっしゃることがカンザス大学に決めた大きな理由です。進路に迷っていた時、カンザス大学の先生方とZoomでお話をする機会があり、背中を押していただいたことも心強かったです。
大学院進学を決意したのは就職先が決まった後でしたが、内定を辞退して大学院に合格する保証はどこにもなく、Teaching Assistantをするために必要なTOEFLの点数にはその時点で届いていなかったため、金融系の会社で新入社員として働く傍ら大学院進学の準備を進めることにしました。結果として大学卒業直前の3月には大学院から合格通知をいただき、就職後の5月にはTOEFLで基準点に到達することができたため、大学院進学をするに至りました。せっかく入社した新入社員が2ヶ月で退職することになり、会社の方々には多大なるご迷惑をおかけしたと思っています。進学を決定するまでの間や準備中も、この道を選んで本当にいいのかという不安はありました。しかし会社で私の代わりになる人はいても、大学院生として私の代わりに研究をしてくれる人はいないので、この道を選んだことを全く後悔はしていません。
授業・専攻
私は東アジア研究、主に日本研究およびジェンダー研究を中心に大学院での授業を取っています。例えば、日本文学の授業では和歌や源氏物語を英語で読み、ジェンダーや階級など、様々な視点からクラスでディスカッションを行ったことが印象に残っています。
私は大学まで日本で教育を受けてきたため、日本の古典文学や歴史について知っているつもりでいたのですが、現地の学生とのディスカッションやジェンダーなどの視点を持ってそれらの文学と対峙した時、新たな発見や気づきが沢山ありました。授業を受けていて大変だったことは多々ありますが、一番大きかったのは授業中に発言が全然できないということです。クラス内での発言も評価に含まれるにもかかわらず、主に語学面での不安から特に一学期目などはクラス内で一度も声を発することができないこともしばしばでした。「こんなことを質問したら頭が悪いと思われるんじゃないか」と悶々としたり、頭の中で言おうとしていることを整理したりしている間にクラスでは次の話題に移っていて、「もう今更言えない…」と押し黙っていました。このままではいけないと思い、「かしこいと思われようとするのをやめる」ことを意識し、何でもいいから授業中に声を発することを目標に授業に臨むようにしました。完璧な英語でなくても声を出せばいい、そこまでハードルを下げたら、随分と質問や発言がしやすくなったように思います。そして意外にも、私が分からなかった事は英語ネイティブの学生も分かっていなかったという場合も多く、私の発言がきっかけでディスカッションが深まった時は自信がつきました。
授業・専攻
私は東アジア研究、主に日本研究およびジェンダー研究を中心に大学院での授業を取っています。例えば、日本文学の授業では和歌や源氏物語を英語で読み、ジェンダーや階級など、様々な視点からクラスでディスカッションを行ったことが印象に残っています。
私は大学まで日本で教育を受けてきたため、日本の古典文学や歴史について知っているつもりでいたのですが、現地の学生とのディスカッションやジェンダーなどの視点を持ってそれらの文学と対峙した時、新たな発見や気づきが沢山ありました。授業を受けていて大変だったことは多々ありますが、一番大きかったのは授業中に発言が全然できないということです。クラス内での発言も評価に含まれるにもかかわらず、主に語学面での不安から特に一学期目などはクラス内で一度も声を発することができないこともしばしばでした。「こんなことを質問したら頭が悪いと思われるんじゃないか」と悶々としたり、頭の中で言おうとしていることを整理したりしている間にクラスでは次の話題に移っていて、「もう今更言えない…」と押し黙っていました。このままではいけないと思い、「かしこいと思われようとするのをやめる」ことを意識し、何でもいいから授業中に声を発することを目標に授業に臨むようにしました。完璧な英語でなくても声を出せばいい、そこまでハードルを下げたら、随分と質問や発言がしやすくなったように思います。そして意外にも、私が分からなかった事は英語ネイティブの学生も分かっていなかったという場合も多く、私の発言がきっかけでディスカッションが深まった時は自信がつきました。
カンザス大学のおすすめポイント
KUに留学して良かったと思うところは圧倒的に「人」です。
困った時に手を差し伸べてくれる人が沢山いることに、いつも心強さを感じています。ローレンスののどかな雰囲気がそうさせるのか、KUの先生や同僚、クラスの友達だけでなく、街の人も親切な人が多い印象です。ある日歩いていたら急に雨が降ってきて、傘を持っていなかったので仕方なく濡れて帰っていたら知らない人が車から「大丈夫?乗せようか?」と声をかけてくれて(家がすぐそこだったのと防犯上の理由でお断りしましたが)雨だったのに暖かい気持ちになりました。KUの学生もいい意味で「ガツガツしていない」人が多いように思います。人を蹴落としてまで自分が評価されたい、というような人はあまり見かけなくて、困った時はみんなで助け合おう、という雰囲気がKUの良いところだと思っています。
TA(Teaching Assistant)の仕事
私はTeaching Assistantとして日本語のラボの授業を教えています。
講師の先生方が教えるレクチャーが文法中心なのに対して、ラボの授業では話したり、聞いたりする練習を多く取り入れています。これまで私は初級・中級の学生を教えてきました。津田塾大学在学中に日本語教員養成課程を修了しているとはいえ、学部生時代にはパンデミックの影響で例年行われていた教育実習が行えなかったこともあり、実際に教壇に立って教えるのは初めての経験でした。自分とあまり年の変わらない学生や、年上の学生に対して、日本語の先生としてどのように振る舞うべきか悩むこともありますが、相手がどんな学生であれ、日々の授業を実直に行うことを大切にしています。週3回×2セクション授業を教え、テストや宿題を採点し、自分の学生としての課題を同時進行するのは初めのうちはかなり大変で、研究まで中々手が回りませんでした。しかし、前学期から平日は毎朝1時間ほど(短い日は10分、15分のこともありましたが)早起きして研究に充てるようにしたら、久々にWord文書を開いて自分が何を書いていたのか、書こうとしていたのか分からなくなるということが断然減って継続することの大切さを思い知りました。この習慣はこれからも継続していきたいと思っています。
留学中の困難・成長
留学中は自分自身の弱さを受け止め、人に助けを求めたり、自分が持つべき権利を主張したりすることの練習になったように思います。
日本にいる時はできるだけ人に迷惑をかけず、誰の手も煩わせないことが大人なのかと思っていました。だから人に助けを求めたり、自分の権利を主張するのが苦手で、助けてもらうことにも罪悪感を感じていました。しかし、言語の壁があり、家族もいない留学先ではどうやっても人に頼らないと生きていけないということに気がついて、助けを求めない人ではなくて、適切に助けを求められる人、そして人が困っているときに手を差し伸べられる人になりたいと思うようになりました。
奨学金
奨学金は、津田塾大学時代に先生からご紹介いただきました。私はTAとしてKUの東アジア言語文化学部で日本語を教えることで大学から学費の全額免除、および月々約$1700ほどのお給料をいただいています。それだけで家賃や食費などの生活費を賄える額です。お給料としていただいているので、返済の義務はもちろんありません。また、TAは大学の提供する健康保険に通常より安く加入することができます。大学院には自分でお金を払って行くしかないと思っていましたが、TAとして学費免除かつお給料をいただきながら学びを継続することができるのは本当に素晴らしい制度だと思いました。もし金銭的な理由で大学院進学を迷っている方がいたら、大学院での学びをお金を理由に諦める必要はない、ということをぜひお伝えしたいです。